きた!
五つ星!
ワーイ! 傑作、きた! イエィ!SFは嫌いじゃないけれど、ハードSFというと、ニセモノの高度な科学を独自に発展させていて、その設定がきめ細やかに描かれ、それをまず理解するのが大変で、ウンザリで、どうも取っつきにくい。
そんな理由で、ハードSFというとあまり好きなジャンルではないのですが、本作はホント傑作です。
たぶん、あらすじに、“傑作ハードSF”と書かれているけど、ハードSFではないんだと思います。
ハイ。
本作はサバイバル小説です。
火星に調査に来たものの、砂嵐に見舞われて、ミッション中断。
6人のチームは火星を離脱しようとするものの、アクシデントが発生し、主人公のマーク・ワトニーだけ火星に取り残されてしまう。
しかも、チームの仲間には、死んだと思われている。
水も、酸素も、食べ物も、6人がミッションをするための量しかない。
一番の問題は、地球との通信手段も無い。
だから、助けも呼べないし、NASAも生きてると思っていないから、マークを探すこともない。
そんな状況から地球に帰るために、マークは頑張る。
SFのサバイバルものは、過去にもありそう。
だけど、本作の一番の魅力は、主人公マークの
ポジティブさ。
キャラクターが秀逸。
マークの視点は、火星でのサバイバルに失敗したとしても、将来、骨が拾われたときに読んでもらうための記録という形式で、日記風の一人称の語り口。
合間に、三人称形式で、NASA側だったり、マーク救出作戦を考える人たちの視点。
酸素の問題。
水の問題。
食料の問題。
通信手段確保の問題。
ひとつひとつの問題点を、しっかりとSF的な要素を駆使しして、解決していく。
どこまでがホントで、どこまで現実的に可能なのか、全く分からないけれど、とりあえず、“パスファインダー”はウィキペディアで調べると、“マーズ・パスファインダー”で実際の火星探査機のようです。
マークの明るさ、それと正反対の賢さ、そして、アクシデントに見舞われたときの機転。
ひとつひとつの問題を解決するごとに、「よくやった!」と応援してしまいたくなる話でした。
小説としての構成なんて関係ない。
パワーに溢れた傑作でした。
そうそう、韓国の金浦空港に、『さよなら神様』を忘れました。